東恩納 裕一
Higashionna YuichiWORKS
ステートメント
カタカナ表記では“室内”しか意味しないインテリア(interior)の第一義的な意味が“内面/内部”だとすれば、かつて日本の多くの家庭の室内がファンシーな品々で満たされていたのは、そこが戦後世代の、そして日本の内面でもあったからではないでしょうか。 西欧文化への憧れが生み出したファンシーな品々は、わたしにとって馴染みがありながら好きにはなれない疎遠なものであり、それは、フロイトの「不気味なもの/unheimlich」*1の定義にぴったりと符合するものでした。 ただ、 “不気味さ“の現れが何かの症候だとして、それを感じる個別の感覚が他者と共有されるのか、普遍性を持つのか・・という疑問がつきまといます。 21世紀初め、初めて多数の蛍光管による“シャンデリア”を制作した際、当初素朴な風刺・パロディー*2を企図したにもかかわらず、煌々と白い光を放つ蛍光灯シャンデリアにアイロニーとは無縁の過剰さ、痛快なカタルシスを感じたこと、そこに1つのヒントがあるかもしれません。つまり、日本的なものから日本的でないものへ、個別的なものから普遍的なものへ、そして「不気味なもの/unheimlich」から「不気味でないもの/un-unheimlich」*3へ、という転回・・・。 *1『不気味なもの/ Das Unheimliche』ジグムント・フロイト 1919年 *2日本が偏愛する蛍光灯、特に日本の家庭で独自に普及した丸型蛍光灯を多数使用し、西欧文化のアイコンともいえるシャンデリアに擬態する。 *3「不気味でないもの/un-unheimlich」は、unheimlichに否定の接頭辞;un- を加えて二重否定する、千葉雅也氏による造語。『意味のない無意味』河出書房新社 千葉雅也 2018年 |
経歴
東京都生まれ、在住 |
主な個展
2023 | 「awkward assemblages」CALM & PUNK GALLERY、東京 |
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2020 | 「Large Interior」void+、東京 「Ota Art Archives(OAA) #2 東恩納裕一」KOCA、東京 |
2019 | 「un-」Capsule 、東京 「un-unheimlich/不気味でないモノ」void+、東京 |
2017 | 「blank -prints and drawings-」日本橋高島屋 Gallery X、東京 |
2016 | 「Spill Light」 Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku、東京 |
2015 | 「Play double」 CAPSULE、東京 「let’s get dizzy」Marianne Boesky Gallery 、ニューヨーク |
2014 | 「bascule」CAPSULE/SUNDAY、東京 「Ubiq」Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku、東京 |
2012 | 「Apparition」Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku、東京 「東恩納裕一/FL」 CALM&PUNK GALLERY/NADiff GALLERY、東京 |
2011 | 「fluorescent」Marianne Boesky gallery 、ニューヨーク |
2010 | Exit gallery 、香港 「VENICE/TOKYO」Venice Projects、ベニス yumiko chiba associates viewing room shinjuku、東京 「fluorescent/new prints&drawings」NADiff Gallery2F、東京 「ヴェネツィア/東京」べレンゴ・アカツ・コレクション、東京 |
2009 | 武蔵野美術大学80周年記念展「変成態-リアルな現代の物質性 Vol.4 東恩納裕一」ギャラリーαM、東京 |
2008 | Marianne Boesky gallery project space、ニューヨーク 「refract!」カームアンドパンクギャラリー、東京 |
2005 | 山本現代、東京 |
2003 | 世田谷美術館/廊下、東京 |
2001 | ギャラリー101、オタワ |
2000 | Nadiff、東京 |
主なグループ展
2023 | 「植物と光、依存と自由Ver.1」void+、東京 |
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2022 | 「桃源郷通行許可証」埼玉県立近代美術館、埼玉 「Positionalities」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都 「世界の涯ての庭と室内。」(滝戸ドリタとの2人展)AL|TRAUMARIS、東京 |
2019 | 「重なりと作用」(神山靖弘との2人展)The Third Gallery Aya、大阪 |
2015 | 「GLASSTRESS 2015 GOTIKA」Berengo Studio 、ベネチア 「六本木アートナイト2015」政策研究大学院大学 、東京 |
2013 | 「アートがあれば II ─ 9人のコレクターによる個人コレクションの場合」東京オペラシティアートギャラリー、東京 「2Junkies’ Promises: Curated by Iván Navarro」PAUL KASMIN GALLERY、ニューヨーク |
2012 | 「代官山アートストリート」旧山手通り周辺施設、東京 |
2011 | 「THE MARGULIES COLLECTION AT THE WAREhOUSE」 THE MARGULIES COLLECTION AT THE WAREhOUSE、マイアミ 「MASKED PORTRAIT PART II When Vibrations Become Forms」 Marianne Boesky Gallery、ニューヨーク 「Glasstress 2011」 Palazzo Cavalli-Franchetti、ヴェネツィア |
2010 | 「The New Décor」 Hayward Gallery、ロンドン |
2009 | 「SECOND NATURE EN DANSK-JAPANSK DESIGNUDSTILLING」 RUNDETAARN、コペンハーゲン 「インシデンタル・アフェアーズ うつろいゆく日常性の美学」 サントリーミュージアム、大阪 「Constructivismes」アルミン・レッシュギャラリー、ブリュッセル |
2008 | 「ダブルクロノス」ZAP、東京 「The Masked Portrait」 Marianne Boesky Gallery、ニューヨーク |
2007 | 「六本木クロッシング 2007 未来への脈動」森美術館、東京 「THIS PLAY!」21_21 DESIGN SIGHT、東京 |
2006 | 「Sea Art Festival (Living Furniture)」2006釜山ビエンナーレ、釜山 「愉しき家 Enjoyable House」愛知県美術館、名古屋 |
2004 | 「Officina Asia」ボローニャ近代美術館、ボローニャ |
2003 | 「ZONE」府中市美術館、東京 |
1999 | 「時代の体温 Art / Domestic」世田谷美術館、東京 |
出版
2012 | 『GAS BOOK 26 FL』ガスアズインターフェイス株式会社 |
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2009 | 『Yuichi Higashionna Flowers』(テキスト:中山真理)トゥルーリング株式会社 |
2008 | 『GAS BOOK 25 YUICHI HIGASHIONNA』ガスアズインターフェイス株式会社 |