奇跡の森 EXPO’70
2024年10月5日(土)-11月2日(土)
2024年10月は畑祥雄「奇跡の森 EXPO’70」展を開催いたします。
1970年に万博が大阪で開催され、ちょうど55年後の来年にまた大阪で開かれることになっています。55年前に千里の山を切り拓く形で作られたその場所は、日本庭園と岡本太郎による太陽の塔と日本民芸館が当時の面影を伝えるのみです。
今回、畑祥雄はパビリオンの跡地に人の手がはいって作られた「万博の森」を撮影しました。55年の月日の中で育まれた多様な動植物たちの姿には目を見張ります。人工の森がここまでになった理由の分析にも踏み込み、ドキュメンタリー写真の最新形といえるでしょう。工業化社会の祭典である万博が55年を経て、都市に再生した森となったことは、複雑な現代を生きるわれわれにかろうじて未来の希望を感じさせてくれます。
9月24日には本シリーズの写真集がブレーンセンターより刊行されています。また、本展の初日にはレセプションと、会期中には作家によるトークも開催いたします。
アーティストステートメント|
1970年の「日本万博」は、戦後の焼けた廃墟から復興を遂げ、世界に経済大国として国の存在をに示した国家イベントであった。それは「人類の進歩と調和」をテーマに、最先端の科学技術を結集させ民族の平等を謳う祭典であった。
その象徴として輝いたパビリオン群は183日間の会期後ほぼ全て解体され、黄色い土の色がむき出しの更地になった。もともと、そこにはビジネスセンターを造成する構想だったが、豊かな自然の山々や里山を「開発」の名のもとに破壊し建造物で埋めていくという経済優先の「お祭り」に対し、世の中には批判や疑問の「雰囲気」が漂っていた。祭りのあとの贖罪意識も働き、博覧会閉幕後は自然の回復をテーマにした「森創り」が万博跡地で始まる。
以来約50年の時を経て、そのひ弱な人工の森は「鬱蒼とした森」「四季を愛でる森」「市民の憩いの森」へと成長・発展・変容した。一度は破壊された森が都市の中で人々の暮らしとともに再生されたことは世界でも類を見ない「奇跡」であり、「ネイチャーポジティブ(自然の保全と回復)」の先駆けでもある。
「森を守り、森を創る」は国連が掲げるSDGsの背骨にもなるアクションであるが、地球温暖化に伴う気候変動や生物多様性への危機など21世紀的な課題への取り組みが急務となっている現在、もはや森の保全だけでは追いつかない。森創りこそが自然全体を回復させ人類が美しい地球に調和するための条件であり、未来へと命をつないでいく方法である。
ただ、森創りは実現にも評価にも時間がかかる活動である。写真集『奇跡の森 EXPO’70』の発表が50年目の証として、自然の保全や回復のさまざまなプロジェクトに関わる人々に時代を超えて勇気をもたらすことができればと願う。
畑 祥雄
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レセプション|
日 時|10月5日(土)17:00 – 19:00
トーク|畑 祥雄
日 時|10月25日(金)19:30 – 21:00
参加費|1,000円
会 場|The Third Gallery Aya(定員:12名)+YouTube配信(後日、視聴可能)
予約先|こちら / 06-6445-3557
*お申し込み後に詳細をご案内いたします
*ギャラリーを会場に配信いたします
写真集|『奇跡の森 EXPO’70』(ブレーンセンターより9月24日刊行、3,850円)
https://www.brainsharesystem.jp/sbcbook/html/products/detail.php?product_id=893
畑 祥雄
経歴
1950 | 京都市生まれ |
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1973 | 同志社大学法学部卒業 |
1979 | 『カメラ毎日』で「〈風声〉—恐山-」を発表 |
1984 | ユージン・スミス/アイリーン・スミス《水俣》作品キュレーション(大阪人権博物館) |
1986 | 「山沢栄子作品」展ディレクション(有楽町朝日ギャラリー;東京、ABCギャラリー;大阪) |
1987 | 「アメリカの現代写真」展ディレクション(大阪府立文化情報センター) 「花博写真美術館」を企画プロデュース(国際花と緑の博覧会) |
1990 | 『東松照明/さくら・桜・サクラ』出版と展覧会をプロデュース(ブレーンセンター、Loftフォーラム梅田) |
1991 | 花博写真美術館の写真コレクション「EARTHSCAPE」を大阪府に寄贈 |
1992 | 写真集・現代美術カタログを公開する「写真図書館」を開館 |
1993 | 成安造形大学造形学部デザイン科写真クラス 助教授に着任(2000年教授) |
1996 | インターメディウム研究所・IMI「大学院」講座の設立、ゼネラルマネージャー着任 |
2002 | 関西学院大学総合政策学部メディア情報学科 教授に着任 |
2008 | 「サイエンス映像学会」設立、常務理事・事務局長に着任 |
2012 | 東日本大震災を受けて、メディアミックスの「防災電子図鑑」をプロデュース |
2018 | 一般社団法人 大阪国際メディア図書館 館長に着任 「写真表現大学・Eスクール」(映像/音楽)講座総合ディレクターに着任 |
2021 | 《奇跡の森 EXPO’70》50年に際しライフワークの写真撮影を開始 |
受賞
1986 | 咲くやこの花賞(大阪市文化芸術新進作家賞) |
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1994 | 京都国際映画祭ハイビジョンフェスタ’94 監督作品グランプリ |
個展
2024 | 「奇跡の森 EXPO’70」The Third Gallery Aya、大阪 |
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1990 | 「ハナコ・ザ・バイオメカロイド」大阪人権博物館、大阪 |
1988 | 「biomachine」ギャラリー白 |
1986 | 「THE SIGNAL」パインヒルギャラリー、ソウル |
1984 | 「MODERN DOWN —紡績工場68年目の閉鎖—」ギャラリーDOT、神戸 「THE SIGNAL」ギャラリーワイド、東京 |
1983 | 「視遊 —島原太夫の衣装—」キタノサーカス、神戸 |
グループ展
1997 | 「複製時代」ハラミュージアムアーク、群馬 |
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1992 | 第3回ロッテルダムフォトビエンナーレ(招待個展「HANAKO」、スキーダム市立美術館、オランダ) |
1985 | 「日本の24時間 —世界の写真家100人の目—」 |
出版
2024 | 『奇跡の森 EXPO’70』ブレーンセンター |
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2014 | 『国際連合の基礎知識』日本語版の出版プロデュース、関西学院大学出版会 |
1990 | 『HANAKO バイオメカロイド“ハナコ”と過ごした日々』ブレーンセンター |
1985 | 『西風のコロンブスたち:若き美術家の肖像』ブレーンセンター |
1980 | 『背番号のない青春』ブレーンセンター |
パブリックコレクション
京都国立近代美術館、京都 和歌山県立近代美術館、和歌山 大阪人権博物館、大阪 スキーダム市立美術館、スキーダム(オランダ) |