サンクチュアリ – prelude
2003年10月20日(月)〜11月8日(土)
12:00〜19:00(日曜休廊・土曜日17:00まで)
私は少女の頃から少年になりたいと思っていた。それは私だけでなく、少なからずその当時女の子として窮屈さを感じてた多くの少女が抱く夢でもあった。彼女達の何割かはいつか男の子になるだけではなく、男の子のままで、かつ男の子に愛される自分を夢見るようになった。私のような少女達にとって男の子どうしの恋愛は自然なことであり同時に長い間それは私の、あるいは彼女達の秘め事だった。しかし時がたつにつれ、女性の願望としての男の子どうしの恋愛は一つのジャンルへと成長し現在では巨大なマーケットを確立するにいたっている。膨れ上がったジャンルの中では恋愛の形の差別化、多様化が進み、ありとあらゆる組み合わせでの愛の形が供給されている。
今回発表するサンクチュアリ〜Prelude〜は、三部構成からなる連作の第一部である。この連作は架空の街の学園を舞台としている。第一部は、主要キャラクターの紹介部分で、様々な美形男性キャラクターが登場する。以後予定している第二部でその男性キャラクター同士の関係性を発展させ、第三部で学園の外の世界に舞台を移していく。
この作品では、女の子が妄想する男の子どうしのカップルの関係性を通じて、自己実現としての自分と女の子としての自分との関係を表現する。様々なカップルの組み合わせが可能であり、自己を投影するキャラクターも変化しうる。それによって女の子の両義的な欲望が成就されるのか?キャラクター同士の関係性が発展した時に何が起こるのか?連作を通じてみつめていく。
————————————————
小松原緑は「Good-natured men」「タプラオ」「ミドリスト」と現代の日本の肖像を独自の方法で描いてきました。写真を使って「(得体のしれない)笑顔」「エイリアン(?)」「キャラクター」とその切り口は鮮やかで戦慄です。 そしてその多様性は日本の多様性を思い起こさせます。 今回の切り口のひとつは「ゲーム」もうひとつは「やおい/女の子が妄想する男の子どうしのカップル」という、まさに現代の日本のひとつの肖像です。そして今回の魅力は今までのどの作品よりも作家自身に近いもので-、より深く複雑な様相を帯びているところです。是非、この世界を見て頂きたいと思います。