初期作品『サーカス』
『地底のヒーローたち』より

丹野章|TANNO Akira

2024年8月31日(土)-9月28日(土)
水曜-金曜 12:00–19:00 土曜 12:00–17:00
火曜 by Appointment only

2024年9月は丹野章展「初期作品「サーカス」「地底のヒーローたち」より」を開催致します。
1925年生まれの丹野は、戦後日本の写真表現を象徴する写真エージェンシー「VIVO」のメンバーとして知られる写真家です。
長らく歴史に埋もれてきた岡上淑子、今井壽惠の作品を取り扱う中で、1960年代までの日本の戦後の写真界の状況を再考してきました。丹野章を同世代の写真家として捉え直し、今回は1950年代の代表作として「サーカス」、60年代の代表作として「地底のヒーローたち」を紹介致します。
大阪での個展は今回が初めてです。ヴィンテージプリントを中心に初期の作品群を見て頂ける貴重な機会となります。会期中には写真史家の戸田昌子さんによるトークを開催致します。

 

丹野章(1925-2015)の「サーカス」は、1957年、写真評論家の福島辰夫の呼びかけで行われた「10人の眼」(銀座松屋・東京)展に出品された。海外から来日した音楽家やバレリーナなどの写真で注目され、ステージフォトでは既に高い評価を得ていた丹野であるが、日本のサーカスを撮影した写真群は土着的であると同時に、どこか西洋を感じさせるテーマでもあった。ちなみに同展には細江英公、東松照明、奈良原一高、川田喜久治など、後に写真家たちによるセルフ・エージェンシー「VIVO」(1959)の設立に参画したメンバーたちが集合しており、戦後派の写真表現がここで立ち上がってくるのである。一方で、1960年代半ばに開始され、のちに「地底のヒーローたち」としてまとめられた長崎県高島炭鉱の労働者を撮影した作品群は、過酷な労働のなかで奮闘する人々の姿に照準したものである。サーカスであれ、炭鉱であれ、丹野の写真は、人々の生活を人生という舞台装置のなかで見る眼差しにおいて共通する。1972年には土門拳らのリアリズム写真運動の流れを汲むリアリズム写真集団の事務局長に就任、1976年からは公募展「視点」を創設し、後進の指導にあたる。また、日本写真家協会の著作権委員長として1970年の新著作権法成立などに寄与した。

戸田昌子(写真史家)

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トーク|戸田昌子(写真史家)
日 時|9月7日(土)18:00–19:30
参加費|1,000円
会 場|The Third Gallery Aya+YouTube配信(後日、視聴可能)
申込先|info@thethirdgalleryaya.com、06-6445-3557

*お申し込み後に詳細をご案内いたします
*ギャラリーを会場に配信いたします

※ギャラリーでのご参加は満席となりました

丹野 章

経歴

1925 東京生まれ
1947 金鈴社写真工房に勤務(1951年まで)
1949 日本大学芸術学部写真科卒業
1959 川田喜久治、佐藤明、東松照明、奈良原一高、細江英公と共に写真家によるセルフ・エージェンシー「VIVO」を結成(1961年解散)
1976 公募展「視点」を創設。選考委員に就任

主な個展

2015 「昭和曲馬団」禅フォトギャラリー、東京
2013 「地底のヒーローたちー長崎県高島炭鉱」キャノンギャラリー、東京、札幌、福岡
2009 「丹野章の戦後」キャノンギャラリーS、東京
1975 「壬生狂言」キャノンサロン、東京、名古屋 壬生寺、京都
1959 「二人のバレリーナーマーゴ・フォンテーンとジャニーヌ・シャラ」月光ギャラリー、東京

主なグループ展

1991 「日本写真の転換ー1960年代の表現」東京都写真美術館
1978 「VIVO」サンタバーバラ美術館、アメリカ
1962 「”NON”写真展」銀座松屋、東京
1957 第一回「10人の眼」小西六フォトギャラリー、東京
1952-54 「青年フォト展」松島ギャラリー、東京

出版

2015 「昭和曲馬団」禅フォトギャラリー
2009 「撮る自由」本の泉社
1995 「日本で演じた世界のバレエ」イメージハウス
1992 「壬生狂言-丹野章写真集」光陽出版社
1958 「ボリショイ劇場」音楽之友社
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