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    写真(をめぐる)言説
    -PARADIGM SHI FT-

第3回 特別講座
写真(をめぐる)言説
-PARADIGM SHI FT-

第3回  特別講座
写真(をめぐる)言説
-PARADIGM SHI FT-

第3回目では「写真(をめぐる)言説 -PARADIGM SHI FT- 」というタイトルのもと、5名の講師による集中講義を行います。
ポストモダニズムが終焉したと囁力‘れた10数年前に、ちょうど写真界でも急速にデジタル化の波が始まリました。そして現在では写真と現代アートとの垣根もなくなリつつあリ、多種多様な表現が写真界でも生まれてきています。その中で写真に対するディスクールにも変化が起き始め、写真に関わる者にとって激動の時代が到来しているように感じます。
そこで、今一度改めてしっかりと「写真」について考える「場」が僕らには必要ではないかと思い、普段は僕ら写真家と意外に交流の少ない特に同世代の写真研究者の方たちをお呼びして「写真」について語る「場」を設けることにしました。
これまでの歴史を踏まえつつ新しいキーワー ドも盛リ込みながら、「過去、現在、そしてこれからの写真」についてのお話を伺いたいと思います。

講師:林田新、増田展大、唄邦弘、甲斐義明、調文明
日時:2014年8月29日(土)10:30–16:30、30日(日)10:30–16:30
参加費:700円(税込/1ドリンク付き)
会場:ドーンセンター5F セミナー室①
主催:824(藤安淳/宇山聡範/福田真知)

タイムテーブル|
10:30–12:00
「写真と記録」
講師:林田新

13:00–14:30
「スキャンとプリント—写真の周辺をめぐって」
講師:増田展大

15:00–16:30
「写真×ワイセツ」
講師:唄邦弘

10:30–12:00
「キャンディッド・フォトと肖像権」
講師:甲斐義明

13:00–14:30
「現代アイドル写真論」
講師:調文明

15:00–16:30
「座談会」
講師全員による座談会を行います

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「写真と記録」

写真は常に「記録」という役割を期待されてきました。報道写真やドキュメンタリー写真において、 そして昨今頻繁に取リ沙汰される写真のアーカイブにおいてもそこで前提とされているのは「記録」としての写真の力です。
本講義では ドキュメンタリー とアーカイブに関する写真の諸実践を紐解き、写真という「記録」のあリ方について考えていきます。

林田 新|HAYASHIDA Arata
京都市立芸術大学芸術資源研究センター研究員/大学非常勤講師。専門は視覚文化論、写真史/写真論。現在は報道写真をめぐる理念と実践に着目し研究を行っている。主な論文に「長崎の皮膚――『〈11時02分〉NAGASAKI』」(『現代思想』41号、2013年)「星座と星雲――「名取=東松論争」に見る「報道写真」の諸相」(『映像学』第84号、日本映像学会、2010年)、「写真を見ることの涯に――中平卓馬論」(『写真空間』第4号、青弓社、2010年)など。共訳論文にサンドラ・S・フィリップス「森山大道 ストレイ・ドッグ」(『森山大道 オン・ザ・ロード』月曜社、2011年)。

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「スキャンとプリント—写真の周辺をめぐって」

現在、「写真」と呼ばれるイメージを操作するとき、わたしたちは写真機 よリもいわゆる「周辺」機器を手にする時間のほうが長くなっているのかもしれません。 ディスプレイやスキャナ、プリンタは言うまでもなくカメラを必要としない3Dプリンタの登場がその最たる事例となるでしょう。
これら写真(機)のあリ方を浸食するかのような昨今のデジタル技術を念頭におきつつ本講義では、スキャンとプリントという実践の端を歴史的に振リ返リたいと思います。

増田展大|MASUDA Nobuhiro
立命館大学ほか非常勤講師
専門は映像メディア論

写真や映画、アニメーションなど、映像メディアの特性を観点から考察している。
最近の論文に、「微生物のメディア考古学 ー一生物(学)とアニメーション」(『セミオトポス』10号、日本記号学会編、2015年)、「原形質のメディア考古学ーーエミール・コール、『楽しい細菌』をめぐって」(『美学芸術学論集』10号、神戸大学文学部芸術学研究室編、2014年)。共訳論文に「アレクサンダー・ギャロウェイ「プロトコル脱中心化以後のコントロールはいかに作動するのか 」(『現代思想』 2015年 6月号)など。

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「写真×ワイセツ」 

昨今、ろくでなし子の裁判や鷹野隆大の作品撤去騒動などアートとワイセツをめぐる問題が注目を集めています。そこで議論の焦点となっているのは、アートは、ワイセツを含むあらゆるものを肯定することができるのか、あるいは、ワイセツはアートになリうるのかという、美術の歴史のなかで繰リ返し論じられてきたものです。
本講義では、写真家・荒木経惟の1970年代から1990年代までの作品を取リ上げ、彼ががどのようにアート/ワイセツを表現していたのかを振リ返るとともに、これからのアートのあり方について考えてみましょう。

唄 邦弘|BAI Kunihiro
京都精華大学非常勤講師
専門は、美学、視覚文化論、先史美術研究
現在は、人類の起源とイメージの起源の関係性について研究を行っている。
主な綸文に 、「イメージの生成からアンフォルムな痕跡ヘーバタイユのラスコ解釈の可能性 ー」(『美学芸術学論集』、神戸大学芸術学研究室、2015年)、「イメージの起源への探求」ーー初期先史学におけるイメージの発見とその真正性 ー一」(『美学』61号、2010年)、「パタイユにおける人類学的イメージ」『 SITE ZERO/ZERO SITE』 No.3、2010年 3月)など

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「キャンディッド・フォトと肖像権」

写真史の名作の少なくない部分はキャンディッド・フォト、つまリ、被写体となった人物がカメラの存在を意識していない状態で撮影された写真である。なぜ写真家たちはこの撮影技法に魅了されてきたのだろうか。 そして、この技法のみが可能にする写真表現とは 一体何なのだろうか。被写体の事前の了解を得ないことは、キャンディッド・フォトの撮影を時に倫理的に問題含みの行為とする。
本講義では、被写体の「肖像権」と撮影者の「表現の自由」の衝突について、写真史の事例を通 して考えてみたい。

甲斐 義明|KAI Yoshiaki
新潟大学人文学部准教授
専門は20世紀美術史、写真史
共著に『時の宙づリ 生・写真•死』(IZU PHOTO MUSEUM、2010年)。
最近の論文に、「新興官頁と小型カメラ一木村伊兵衛の『光画』掲載作について」(『人文科学研究』135号、2014年)など。

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「現代アイドル写真論」

デジカメやインターネットの普及により誰もが気軽に写真を撮影・公表できる現在、写真を最大限に活用している存在といえばアイドルなのかもしれない。昔ながらのプロマイドや生写真、プログ・SNSでの自撮リ、写真週刊誌のスクープ写真など、アイドル ・ ファン、マスメディア・事務所といった様々なエージェントが写真を介して「交流」しておリ、その機能はきわめて多様性に富んでいる。
本講義では、アイドル写真の前史も振リ返リながら、アイドルの「肖像」が持つ魅力と魔力を改めて考えてみたい。

調文明|SHIRABE Bunmei
日本女子大学ほか非常勤講師
写真史研究/写真批評
『アサヒカメラ』『写真画報』などで執筆。また『日本カメラ』では「写真界隈パトロール」を『 PHaT PHOTO』では「現代アイドル写真論」を連載中。
主な論文に、「A・L・コバーンの写真における都市表現-一三つのニュ ヨ ク・シリ ズを中心に一-」(『美学芸術学研究』東京大学美学芸術学研究室、2013年)、「御真影と『うつし』」(展覧会カタログ『かげうつし一ー写映・遷移・伝染ー-」』京都市立芸術大学@KCUA、2013年)、「ジェフ・ウォール-閾を駆るピクトグラファー」「『写真空間4』、 青弓社、2010年)など。

 

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