写真を「読む」

私たちは、新聞や雑誌、本、ポスター、インターネットなどを通して、毎日数え切れないほどの写真を見ています。 しかし、「見る」と言っても、その大半は、「視界に入っている」とか「ちらっと見る」 程度で、一枚の写真を時間をかけてじっくりと見ることは、ごくまれなことなのかもしれません。
このシリーズ・レクチャーでは、広告写真・写真集・写真展・生活の中の写真(私有されている個人的な写真)を通して、写真を 「読む≒じっくりと見ること」を試みます。

講 師|小林美香
開催日|2005年
    4月16日(土) 広告写真を読む
    4月30日(土) 写真集を読む
    5月21日(土) 写真の展示を読む
    5月28日(土) 生活の中の写真を読む
時 間|18:30–20:30
受講料|2,000円(各回)/7,000円(4回通し)終了しています。
定 員|36名
会 場|大阪市立総合学習センター第5研究室(大阪市北区梅田1-2-2-500 大阪第2ビル5F)

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レクチャー|

広告写真を読む|4月16日(土)

広告写真は個々の商品やサービスを宣伝するだけではなく、文化的・社会的な価値観を反映し、考え方を左右するような強い影響力を持っていたりもします。見る人を説得するような広告写真のレトリックに注目し、私たちが普段どのように写真を読みとっているのかということを考えてみましょう。
このレクチャーでは、写真の技術的な発展が広告写真の表現にどのような変化をもたらしてきたのかということや、香水や化粧品、ファッション写真の中に見られるジェンダーの表現、広告写真とアートとの関係、日本の戦後の広告写真の展開など、さまざまなトピックを取り上げます。

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写真集を読む|4月30日(土)

近年のパソコンや携帯電話、インターネットの普及によって、紙に印刷された写真よりも、モニター画面に表示される「画像」としての写真を見ることの方が格段に多くなっています。このような状況にあって、写真集は印刷物でこそ可能な作品形式として、その意義が改めて見直されるべきなのかもしれません。
このレクチャーでは、写真集を、その大きさや紙面の余白、レイアウト、見開き、写真のサイズというような形式的な側面に注目してみながら読みときます。そのなかで、写真のシークエンスの構成の仕方、写真とテキストとの関係についても目を向けてみましょう。

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写真の展示を読む|5月21日(土)

ギャラリーや美術館のような展示空間で、写真を見せる方法の中には、プリントを額装して壁面に掛けたり、プリントを直接壁面に貼り付けたりするような方法だけではなく、プロジェクターを使ってスライドを壁面に投影したり、写真を用いて制作された立体物を設置したりするような方法もあります。
このレクチャーでは、19世紀から現代にいたるまでの写真を展示するさまざまな方法を取り上げ、展示を空間全体を一つの作品として作り上げる行為として捉え、展示されている写真を見る人が、写真をどのように読みとるのか、ということを考えます。

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生活の中の写真を読む|5月28日(土)

デジタルカメラや、カメラ付き携帯電話の普及によって、写真を撮ったり、写真に撮られたりする機会は格段に増えています。日常生活の中で作り出される個人的な写真は、一体どのような方法で保管されたり、所有されたり、交換されたり、見られたりしているのでしょうか。またこのような写真は、生活の中でどのような役割を果たしているのでしょうか。
このレクチャーでは、写真を用いて制作されたアクセサリーや、ポートレート写真、記念写真、写真のアルバムなどを取り上げ、私たちが身近な写真をどのように扱い、読み取っているのかということを考えます。

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小林美香|KOBAYASHI Mika
写真研究者。大阪芸術大学、大阪成蹊大学、京都造形大学非常勤講師(写真史、デザイン、現代美術論などを担当)写真やデザインに関する論文、翻訳を手掛ける。 
レクチャー、シンポジウム、ワークショップなどの企画多数。

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